M-Test(経絡テスト)1998年10月29日公開版

第3章 M-Test(経絡テスト)に基づいた治療の実際

M-Test(経絡テスト)の結果に基づいて個々の動きに対する治療を組み立てたとしても、十分な効果を得ることは可能であるが、異常は個々の関節にとどまらず、経絡全体に及んでいる事がしばしば見られる。そこで、ここでは、著者らが頻用している上肢の経絡と下肢の経絡を別々に分析しながら、治療を組み立てていく方法について説明をする。

3-1.頚・肩・肘・手首に対する治療

3-1-1.上肢尺側・頭頚部後面の動きに制限のある症例

最初に手関節を橈骨側へ屈曲し、手関節の小指側を伸展する。これで、この部分に分布する小腸経・心経に伸展負荷がかかる。これで、痛みや不快感が誘発されるようであれば、小腸経の後谿、腕骨、養老や心経の神門、通里などを刺激する。心経と小腸経のいずれの動きの制限が強いかを判断するには負荷を工夫するか圧痛で確かめるなどの方法を用いる。小海や少海を追加刺激する場合もある。これらの刺激でこの動作の制限は善する。次に、上肢を伸ばしたまま肩を屈曲する。これで、制限感や痛みが出現する場合には、図に示したように肘を屈曲して肩を外旋する負荷をする。この動作で症状が発現しないときには、肘周辺の小海や少海などを用いる。

一方、症状が誘発されるときには、肘から肩にかけての小腸経と心経を刺激対象とする。肘周囲の経穴に加えて肩貞、天宗、青霊などを用いる。小腸経と心経のいずれの影響が強いかを判断するには肩の動きに内旋、外旋の要素を追加すればいい。外旋の要素が強い場合、小腸経が伸展され、内旋の要素が強いときには心経が伸展負荷を受ける。

次に、頚部に対して斜め下方屈曲負荷を行う。痛みなどが誘発ないし増悪されれば、肩背部から頚部にかけての経穴を用いる。肩外兪、肩中兪、天容などが刺激の対象となる。下肢の経絡である膀胱経や躯幹の経絡である督脈を治療対象とするかどうかは、頚部前屈負荷で決める。この負荷で痛みなどが誘発ないし増悪されれば、膀胱経の天柱、大杼、風門、承山や督脈の大椎、身柱などを用いる。

図3-1 上肢尺側・頭頚部後面の動きに制限のある症例
図3-1 上肢尺側・頭頚部後面の動きに制限のある症例